【特集】
「糖尿病性腎症の予防に向けて」
腎不全患者の増加が問題になっている。腎臓内科学会の全国登録から推計されたCKD患者数は2000万人を超えるといわれる。最近透析に入る腎臓病患者は糖尿病に由来するものが増えている。腎不全の進行をとどめるには血圧降下剤などの薬物療法もあるが、基本は低たんぱく食を行うことが最も効果的と思われる。特に腎不全になると禁忌となる糖尿病薬の多いことを考えるとなおさらである。しかし、医師は栄養療法の効果や実践についてあまり積極的ではない。
食事摂取基準2010が5月末に厚生労働省から発表になり、エネルギー摂取やたんぱく質摂取量の考え方が新しくなった。低たんぱく食のたんぱく質摂取量に関して、日本では医師・栄養士間でも一致がなく、国民全体にたんぱく質摂取は筋肉隆々になる、とか、パワーの源という考えがあり、高たんぱく質信仰というような風潮さえある。本特集では低たんぱく質の治療食としての効果と、腎臓病の最近の研究、患者教育の問題点などについて扱った。
【鼎談】
「The Glucose Revolution糖尿病治療における血糖コントロール─低GI食品の有用性とその活用」
Brand-Miller、門脇孝、渡邊昌
【目次】
栄養学の礎を築いた人々「ウィリアム・プラウト」
病理最前線「腎臓 ─腎硬化症の語りかけるもの」 橋口明典
Editorial 「三位一体の栄養療法」
鼎談「The Glucose Revolution糖尿病治療における血糖コントロール
─低GI食品の有用性とその活用」 Brand-Miller、門脇孝、渡邊昌
19回 国際老年病・老年医学会で抗加齢の動き 折茂肇
特集「糖尿病性腎症の予防に向けて」
慢性腎臓病の世界的健康危機にやらねばならないこと Kopple
慢性腎臓病と低たんぱく食 ─mTOR systemの意義─ 脇野修
糖尿病性腎症をふせぐ食事療法 渡邊昌
糖尿病性腎症の食事療法ステージ4,5の低たんぱく食事療法を中心に 金澤良枝、中尾俊之
食の随想 温故知食「福澤諭吉と肉食」 渡邊昌
適正たんぱく食普及会の腎臓病セミナーから 安曇正子
医療と哲学 出浦照國
在宅医療の現場から 英裕雄
諸外国に学ぶ「管理栄養士のキャリアパス」 桑木泰子、笠岡(坪山)宜代
NR講座「消費者へのアドバイス」 西山聡子、梅垣敬三
テーラーメイド・ヌトリション 個人の必要エネルギー摂取量 渡邊昌
編集委員と協賛企業