Volume 1 Number 2(2009年6月)

「医と食」Vol1.No2

「医と食」Vol1.No2

【特集】
「肝臓病の栄養・食事療法UPDATE」

肝硬変を母地として日本では毎年2万人強の肝臓がんが発生している。約80%がC型ウイルス、約15%がB型ウイルスと関係した肝臓がんで、残り5%がアルコール性肝障害である。肝硬変につながる慢性肝炎の8割以上はB型あるいはC型肝炎ウイルスによるものだ。HBVは母子間の感染予防がワクチンなどにより制御されてきて、C型肝炎も輸血による感染が予防できるようになり、増加は横ばいである。かわって肥満による脂肪肝やNASHが問題となってきた。

これら肝疾患には栄養・食事療法がきわめて有効で、適正体重に落とす指導が重要である。また、肝炎、肝硬変患者にはさまざまな病態とステージがあるのできめ細かい個別のテーラーメイドな栄養指導が必要となる。

日本では肝疾患の患者に高エネルギー・高たんぱく食、安静という治療が長年行われてきた。PEMは避けねばならないが、従来の治療法は今や否定され、むしろ適正エネルギー低たんぱく食の方が治療効果を上げている。重症例や肝不全に対してはBCAAの補給やビタミン、ミネラル投与なども考えねばならない。医師と管理栄養士の密接な協力に患者も加わることでQOLを上げることができる。

【鼎談】
「肝疾患の現状と栄養療法」 
松崎松平、加藤眞三、渡邊昌

【目次】

栄養学の礎を築いた人々「クロード・ベルナール」
病理最前線「肝臓 ─沈黙の臓器」 小無田美菜、向井万起男
Editorial

鼎談「肝疾患の現状と栄養療法」 松崎松平、加藤眞三、渡邊昌

特集「肝臓病の栄養・食事療法UPDATE」
肥満時代の肝臓病の栄養食事療法 加藤眞三
肝硬変と発がん予防 岩砂淳平、白木亮、森脇久隆
脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎 齋藤正紀、西口修平
肝疾患の栄養管理 岩田加壽子

在宅医療の現場から 英裕雄
摂食・嚥下機能からみた栄養食事支援 菊谷武
医療と哲学 出浦照國
食の随想 温故知食「長寿村、短寿村から学ぶこと」
諸外国に学ぶ「管理栄養士のキャリアパス」 桑木泰子、笠岡(坪山)宜代
NR講座「なぜNRか過去から未来へのNR」 西山聡子、梅垣敬三
news 欧州食品安全機構によるイソフラボン安全性国際会議報告
テーラーメイド・ヌトリション 渡邊昌
編集委員と協賛企業