Volume 1 Number 5(2009年12月)

「医と食」Vol1.No5

「医と食」Vol1.No5

【特集】
「低たんぱく食の効果を探る」

たんぱく質の必要量は過去だんだん減っている。20世紀初頭のVoitの基準食では一日118 gであったが、窒素平衡の研究やアミノ酸トレーサーによる研究が進展し、2007年にWHO技術レポートに提案された安全量は一日体重kgあたり0.8 gとなった。体重60 kgの人で50 g弱である。肉・魚の20%がたんぱく質とすると250 g程度にしかならない。日本人はたんぱく質を摂ることで筋肉が発達する、というたんぱく質信仰ともいうものがあって、焼肉屋が大繁盛している。若いうちはまだよいが中年以降は適正たんぱく量に減らした方が腎への負担が少ない。
臨床医の間では体重あたり0.8 gの摂取を低たんぱく食と思っている人がまだ多い。私たちは少なくとも治療効果を生みだすには0.4から0.5 g/kg程度の低たんぱく食が効果的であると実証してきた。糖尿病患者あるいはCKD患者グループから将来の透析患者の増加が予想される。医療関係者は国の保険医療体制の存続のためにも低コストでもっとも効果的な低たんぱく食をみなおす必要がある。患者が低たんぱく食を実行、継続できるスキルの開発も必要である。

【鼎談】
「腎臓病の食事療法を巡って」  
山縣邦弘、出浦照國、渡邊昌

【目次】

栄養学の礎を築いた人々「大森憲太」
病理最前線「ポトサイト(足細胞):糸球体における濾過バリアの要」 長瀬美樹
Editorial 食育と食品表示

鼎談「腎臓病の食事療法を巡って」   山縣邦弘、出浦照國、渡邊昌

特集「低たんぱく食の効果を探る」
MDRDスタディを考える  渡邊昌
出浦照國の症例 (1976-1997)の再解析  水野正一
慢性腎不全における低たんぱく食の効果  斎藤順子
透析患者の食事療法  稲本元

食の随想 温故知食「納豆」  小泉武夫
第19回国際栄養学会に参加して  三好美紀
環境に有効な食品選択 EUへの提言  National Food Administration, Sweden
書籍紹介「患者と作る医学の教科書」
医学と哲学  出浦照國
NR講座「特定保健用食品の上手な利用法」  西山聡子、梅垣敬三
テーラーメイド・ヌトリション「慢性腎不全患者の低たんぱく食」  渡邊昌


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