Volume 2 Number 2(2010年4月)

「医と食」Vol2.No2

「医と食」Vol2.No2

【特集】
「摂食嚥下障害と食介護」

食べることは生きることの根本であり、適切な食は本人の生きがいや気力にも関係してくる。私たちは高齢者の食の問題を「摂食嚥下を考える会・食介護研究会」で検討してきた。本特集は第4回学術集会で発表された課題を中心に演者の先生方に執筆をお願いした。
介護食はすべての患者に医療行為の一環として提供される食事を指す。食介護はこのような介護食を患者が食べられるようにサポートする行為をいう。摂食・嚥下の評価とマネージメントはようやく知られるようになってきたが、まだ広く認知されているとは言い難い。食欲・自食は、意識、意識下の行動、判断などとつながる脳の褒賞系と密接にからんでいる。食事介護も単に食べさせるだけではなく、全人的な対応が必要になる。これには多職種の共働体制も必要でリーダーにはコーディネーター能力が要求される。この分野の教育体制や人材育成は遅れている。また、病院の食事が外部委託されるようになってきたが、医療行為の一部としての食事にどれくらい対応しているのであろうか? 病院給食は縁の下的な働きだが、正しく理解したい。食介護は、在宅医療にも直結する問題である。

【鼎談】
「食介護のこれから」
藤谷順子、手嶋登志子、大越ひろ

【目次】

病理最前線「唾液腺の再生医療」 美島健二、斎藤一郎
栄養学の礎を築いた人々「Russel Henry Chittenden」
Editorial 予防医療における食育

鼎談「食介護のこれから」 藤谷順子、手嶋登志子、大越ひろ

特集「摂食嚥下障害と食介護」
・嚥下調整食のエビデンスについて 藤谷順子
・嚥下障害食の卒前教育をどうするか 手嶋登志子、石田順子
・嚥下障害食の病院での啓発 杉山真規子
・嚥下障害食を施設の中でどう教えるか 増田邦子
・嚥下障害食をどう伝えるか:栄養士間の教育 岸喜代美 Report 第 4 回食介護

研究会学術大会に参加して 平川あずさ
食の随想 温故知食 「団子」 芝崎本実
ヨーロッパの栄養及び食品サプリメント規制問題の報告 寺田久美子
諸外国に学ぶ「管理栄養士のキャリアパス」 笠岡(坪山)宜代
ヨーロッパの栄養士の活動
第1回 英国の臨床栄養と食文化 福田ふみ
健康食品・サプリメントの安全性
第1回 健康食品・サプリメントの実態と有害事例の全体像
中西朋子、佐藤陽子、笠岡(坪山)宜代、梅垣敬三
テーラーメイド・ヌトリション高齢者低たんぱく血症への対処 渡邊昌


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